イメージ共有から始まるリスク対策(SDGs 12)

更新日:3月10日

Keywords: #リスクマネジメント #原子力発電 #リスク #危機対策 #コミュニケーション

12 つくる責任 つかう責任


私たちはSDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」に関連し、原子力事業を始め、幅広い分野で近年注目される「リスクマネジメント」について、様々な観点で話し合った。リスクマネジメントは科学技術と社会受容性の両方からのアプローチが必要とされるが、今回は主に社会受容性に焦点を当てた議論、質疑応答の場となった。





原子力発電事故のリスクとの共存


 はじめに出たのは、原子力発電におけるリスクマネジメントについての疑問だった。原子力発電は温室効果ガスを排出しないなどのメリットがある一方で、東日本大震災での事故を考えると、一旦事故が発生するとその負の影響はとても大きい。このリスクをどのように考えたらいいのか。この質問に対し、先生はリスクとの共存は原子力発電に限らず、多くの分野で考慮しなければならない問題であると強調。リスクマネジメントを考えるにあたって、ハザードとリスクの違いに言及された。ハザードは事態を悪くする原因であり被害の源となるものや状況を意味するが、リスクは「被害の大きさ」×「発生する確率」として考える。そのため、同じリスクであっても、被害の大きさによって人間の捉え方が変わってしまうことがある。原子力発電は発生する確率が小さい反面、一回の被害が大きく、一人の力で回避できる問題ではないため、イメージが悪く恐怖に結びつきやすい。だからこそ、コミュニケーションを取ることが重要になる。イメージの共有ができてこそ、リスクとの共存が実現していく。


➢ 書面に厳密には記さない日本文化の曖昧さと危機対策


 東日本大震災の流れで、日本の危機対策への意識に関する話題に移った。歴史的に日本には都合の悪い事実を直視しない文化があるのではないか。この学生からの指摘には、先生も共感していた。先生によると、日本は島国独特の文化を持ち、和を尊び余計なことを言わないことを美とする風潮がある。それは往々にして、きっと誰かがやってくれるだろうという発想になってしまいやすい。欧米は契約社会に基づき書面に残して合意をとる文化があるため、書いてあることこそが仕事の範囲だと思う傾向にある。書面に厳密に記さないのは日本の文化の良さでもあるが、それゆえに意思疎通で曖昧さも生じやすい。それを防ぐためにも、自己と他者との事実認識の違いを明確にすることが大切だという。



リスクマネジメント


➢ 過去の経験をヒントに未知なるリスクを回避せよ


 ここで、リスクの認知に関する話になった。全く未知なるものに対するリスクは、認知の遅れが大きな被害を招く恐れがある。それについて、どう対処したらよいのだろうか。先生からは、コロナ禍を例に未知なるものへのリスク対策について言及があった。コロナウイルスが世界に蔓延したとき、何も分からない状態ではあったが、戦略を立てて被害を小さくする努力をした。認識が難しい事象でも、過去の事例を見ていくと必ず似た現象が起きているため、それを参考にできる。また、対応を考える上で大切なことは、何をしたかという以上に、どのようなプロセスを踏んだのかということ。違う分野の経験からヒントを得て、多くの人とつながりを持っていくことで、リスクマネジメントは充実していくのである。


放射線のイメージ改善には学校教育が重要


 原子力や放射線は悪いイメージを持たれやすい。これについて必要なことは何だろう。この疑問に対し、先生は学校教育の重要性を強調された。放射線に関する正しい知識を学ぶことで、放射線のもつ利点、弱点を理解すれば、事実に基づくイメージが形成されることが期待できる。放射線教育に関しては、福島県が積極的に進めているため、それを全国展開していきたい。


 

【学生の声】


学生1:

 ディスカッションでは放射線のことにとどまらず、私たちがSDGsの問題を解決するにあたって、どこに、どうやって取り組んだら多くの人に安心を与えることができるのかを、日本と世界の文化の違いやコミュニケーションの力の大切さなどの観点から根本的な問題を考えることができ、とても印象的でした。


学生2:

 私の専攻は英語のため、リスクマネジメントとはほとんど関係のないものだと思っていましたが、コミュニケーションのツールとして、語学である英語も必要だということを教えていただき、英語に対してもより専門的な知識を身に着けていきたいと思いました。今回のディスカッションを通して、学生の期間に自分の専門分野を深めつつ、他の分野にも関心を持ち学んでいくことで、私もより良い社会の実現に貢献していきたいと思うことができました。


【まとめ】


 科学技術だけではなく、社会受容性を中心としたリスクマネジメントを考えていく中で、「コミュニケーション」という単語が多く出てきた。悪いイメージが先行しやすい放射線や原子力発電も、コミュニケーションによって、リスクマネジメントもさらに改善される。人とのつながりの中で適切な問題解決に向かうことができるからこそ、コミュニケーションを大切にしていきたいと感じる場となった。また、専門を深め、分野の違う友を作ることも大事であるということで、学生一人一人が専門分野を探究するにあたり、モチベーションが高まる良い機会となった。

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