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タンザニアの農村にバナナとカカオを植える話 (SDGs 1, 2, 8, 13, 15)

更新日:2022年3月10日

Keywords: #バナナ #カカオ #タンザニア #農村 #都市 #労働


15 陸の豊かさも守ろう

私たちはSDGsに関連する取り組みとしてアフリカ大陸のタンザニアで実際に行われている農村部での活動(バナナとカカオの栽培)についてお伺いした後、農村部についての質疑応答の時間を持った。この活動はSDGs の17の目標のうち、目標1「貧困をなくそう」、目標2「飢餓をゼロに」、目標8「働きがいも経済成長も」、目標13「気候変動に具体的な対策を」、目標15「陸の豊さも守ろう」などに関連していた。




➢ 安定した収入を得るため バナナとカカオの森を造る


 活動の中心になっているタンザニアの農村は、首都から500kmほど離れた場所にある。村には電気・水道・ガスがなく、稲作を生業とする家庭が多い。このような村の実情をタンザニアの農村風景の写真などを交えながら紹介していただいた。稲作は気候や天候によってコメの価格が大きく変動するという問題を抱えているため、この村の住人は安定的に収入を得ることができない。そこで、イネ以外の作物も栽培することで収入の安定化を図ることを目的とし、バナナとカカオを栽培する取り組みが続けられている。この取り組みは、水田以外の場としては比較的村に近い空き地を活用することで、できるだけ野生生物の生息地を減らさないという目的や、畑を森林化することで土壌流亡を抑制するという目的もある。


➢ 手間のかからない作物は現地人だけで生産が可能


質問1:この取り組みの中で日本人が携われない期間があると思うが、そのことによって活動が停滞することはあるのか?


 現地に日本人、あるいは専門家がいないことによって、プロジェクトが進まないということがないように、バナナを植えている。バナナは一回植えてしまえば、あまり手入れを必要とせず大きくなる。バナナは主食であり、換金作物でもあるため、収穫作業は日本人がいなくても現地の人が積極的に行う。このようにプロジェクトの遂行にあたっては、日本人の技術力を常には必要としない作物を選択することが重要である。



カカオ豆
カカオ豆


➢ 情報技術の進歩が都市と農村の教育格差を減らしている


質問2:都市部と農村部では、教育格差といった地域間格差が存在するのか?


 農村部と都市部の教育格差は大きいと考えられる。優秀な教員は都市部で勤務することを希望する傾向があるため、ますます教育の格差は広がっていく。しかし、最近は携帯電話やスマートフォンが普及してきており、都市と農村の情報格差は小さくなってきている。教育に関してはリモートなどのネットワークを通じた新たな教育システムの構築が、都市と農村の格差を埋める一つの鍵になるのではないかという意見が出た。


➢ タンザニア人の労働観は必要最小限の収益を最大限長く


質問3:アフリカ人の労働に対する考え方とは?児童労働などの問題はないのか?


 途上国では、子供が強制的に労働させられているイメージがあると思うが、タンザニア は非常に教育熱心な家庭が多く、児童が強制的に労働させられているケースはあまりない。ただ放課後に家の田んぼや畑の作業を手伝わされることがある。一方、タンザニア人の労働に対する考え方としては、利益を最大限上げることを目指すというよりは、必要最小限の利益をできるだけ長く上げることを目指すという傾向が強くある。特に農業では必要以上に収量を上げようとすると急激に土地が痩せてしまうなど、限られた資源が短期間で枯渇してしまうことも多い。タンザニア人の持つ考え方は、最大限利益が出るように生産しようとする資本主義の考え方とは正反対であることがわかった。

 

【学生の声】


学生1:

 アフリカのことに関して、まだまだ自分の知らないことばかりで、自分の知らない世界が広がっていることを感じた。

これからもっと世界のことを知っていきたいし、見てみたいと思ったし、自分の生活だけではなく、世界の人々の生活を考えて、環境問題あるいは解決すべき課題を人ごとと思わず、(解決するために)行動できる自分になりたいと思った。


学生2:

 SDGsの目標が多岐にわたっているため、一つの目標を達成しようとすると他の目標の達成がおろそかになりがちであるという話が印象的であった。その後、目標に矛盾が生じないようにするにはどんな取り組みが出来るかを考えたことがとても有意義であった。また、バナナとカカオを植える話からタンザニアの現状を知り、日本と別の国について知ることで視野が広がり、自分はもっといろんなことを学びたいと思った。学生だけでなく、専門知識のある先生を交えてのディスカッションを通して、とても学びが深まったなと感じた。


【まとめ】


 今回実際にプロジェクトを通して、SDGs達成に取り組んでいる先生をお迎えしてグループディスカッションを行うことができ、改めて多角的な視点を持つことの必要性を実感した。SDGsの一分野に特化してしまうことは、他分野の目標達成を知らず知らずのうちに遠ざけてしまう可能性があるということについて、事例を挙げながら紹介してくださり、未来を作る大学生として、多角的な視点を持つということはとても重要な観点だと感じた。実際に、SDGsの問題に取り組む際には、様々な観点で物事を考えること、一方向から課題点を取り上げるのではなく、多様な角度からの分析を行い、他の専門分野の人の意見も大切にしたいと感じた。

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