生涯健康脳で生きるために必要な生活習慣と家庭教育

更新日:3月10日

SDGs: #3_すべての人に健康と福祉を #4_質の高い教育をみんなに



Theme


私たちは東北大学加齢医学研究所/東北大学スマート・エイジング学際重点研究センターの瀧靖之教授をお迎えし、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」と目標4「質の高い教育をみんなに」に関連して「生涯健康脳で生きるために必要な家庭教育」をテーマにディスカッションを行った。


#生涯健康脳 で生きる」ということは、私たち一人一人が健康・幸福でいるために必要であり、究極のSDGsともいえる。では、より多くの人が生涯健康脳で生きるためにはどうすれば良いだろうか?幼少期から健康脳を養うための教育を行うことが重要であると考えられる。


また、先生によると「生涯健康脳」を養うことが、将来的には子どもたちの #自己実現 に繋がるという。子どもたちが自己実現を通して幸福になれば、最終的には日本全体が幸福になり発展していくだろう。では、子どもたちが「生涯健康脳」で生き、自己実現するために必要な #家庭教育 とは何だろうか?


 

Discussion


脳の発達に必要な2つの要素である、「#生活習慣」と「#非認知能力」に焦点を当て、「生涯健康脳で生きるために必要な #家庭教育」について瀧先生からお話いただいた後、先生との質疑応答を通してテーマへの理解を深めた。


生活習慣「睡眠・食事・運動」が生涯健康脳で生きる秘訣  (SDGs目標3に関連)

適度な #睡眠 時間を確保することによって、脳の記憶を司る器官である海馬の発達が促進される。また、睡眠には記憶の固定や感情の整理といった役割がある。よって、子どもは8, 9時間程度の睡眠をしっかりと取ることが大事である。


#食事 も脳の発達に欠かせない要素である。特に朝食をしっかりと摂ることは、脳がダイナミックに変化する上で大事なことである。GI値(食後血糖値の上昇度を示す指数)の高い食べ物は血糖値を急上昇させるため、GI値の高い菓子パンよりもお米を主食にする方が好ましい。


さらに #運動 も海馬の成長を促進する重要な要素である。適切な睡眠及び食事と併せて、適度な運動をすることも大切である。


したがって、規則正しい #生活習慣 が生涯健康脳の維持、及び #認知症予防 につながっていく。


非認知能力を育む「しなやかなマインドセット」 (SDGs目標4に関連)

#非認知能力 とは、「数値などでは測りにくく、目に見えにくいが、人が社会で生きていくために必要な諸能力」のことである。例えば、知的好奇心、#自己肯定感、やり抜く力、主観的幸福度、共感性、コミュニケーション力、意欲、自信、忍耐力などが非認知能力として挙げられる。


先生によれば、子どもたちの将来の社会的成功(自己実現)には、非認知能力が大きく影響しているという。


非認知能力の中でも重量な要素である、「#知的好奇心」を高める方法は、何か好きなこと、楽しいこと、興味があることに取り組むことである。自分の興味のあることを行うことで、感情を司る「扁桃体」の機能が亢進する(活発になる)。また、「扁桃体」は記憶を司る「海馬」の機能と密接に結びついている。子どもが図鑑や本などで何かに興味を持ったら、実際にそれに触れさせることが、好奇心を伸ばす上で大切である。何事も何度も接するとさらに好きになるため、子どもが興味を持ったことには何度も触れさせると良い。


また、子どもが「自己肯定感」を持つためには、子どもの能力ではなく「#努力」を褒めることが重要である。努力を褒めることによって、「自分は努力すれば必ずできる」という"#Growth_mindset"(しなやかなマインドセット)を子どもたちは持つことができる。反対に能力を褒めてしまうと、何か困難にぶつかった時に「自分は能力が無いからできない」という"Fixed mindset"(固定されたマインドセット)を持つようになり、自己肯定感を持ちにくくなってしまう。


希望と喜び

第三者が家庭教育に介入する難しさ

子どもの教育に対する保護者の考えを変えるには、保護者への教育が必要となるが、研究者や行政などの第三者が家庭教育へ介入することは難しい。保護者に教育指導することは困難かもしれないが、#学校教育 の場で子どもたちに直接教育することは可能である。例えば、教師を通じて子どもたちを教育する方法が挙げられる。子どもへの適切な褒め方や伝え方を研究者が教師に教える機会を設けることで、教師自身も「#しなやかなマインドセット」を持ち、子どもに接することが可能となるだろう。このようにして、学校教育と研究者の交流が求められているのである。


一方で、妊産婦検診及び乳幼児検診などの既存の制度を生かして、家庭に行政が介入できる余地が残されているのではないかとの意見が挙げられた。先生は講演会等で #家庭教育 についてお話される機会があるが、講演を聴きに訪れるのは意識の高い層であり、家庭教育への意識が高くない保護者には接する機会が少ないという。検診などの既存の制度を活用することで、意識の低い層へのアプローチも可能になるだろう。


また、母子手帳に保護者へのメッセージとして家庭教育の方法について記載することも可能ではないかという意見も挙げられた。


 

Students' View


学生1:教育や福祉分野だけでなく、脳科学の側面からも生涯健康脳で生きるための家庭教育について考えることができ、貴重な経験だった。


学生2: 家庭教育がテーマではあったが、先生のお話を聞く中で自分自身にも当てはまる内容が多くあり、大きな学びとなった。また公共政策がどれだけ家庭に介入できるか、学校教育をどうしていくべきかなど、様々な課題も見つかり、これから私達が主体的に考えていきたいなと思った。


 

Conclusion


生活習慣を整えることや非認知能力を育むことが「生涯健康脳」で生きるために必要不可欠な要素であり、それが子どもたちの幸福、ひいては日本の幸福につながっていく。


40分間という短い時間では議論しきれないほど多くの意見が挙がり、活発な意見交換をすることができた。今回は脳科学の観点から家庭教育にあり方について議論したが、政策、薬学、教育学などの異なる分野を学ぶ学生が集まり、多様な側面から家庭教育について考える有意義な時間となった。今回のディスカッションは、教授と学生が協働し、未来を創造する一歩となったのではないだろうか。最後に先生が仰っていた「SDGsを高める上で様々な分野の人々との意見交換が大切である」という言葉を心に留め、今後も多様な分野を研究する教授及び学生との意見交換の場を持ち、SDGs達成に向けて探究・実践していきたい。

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