脳科学とAIが織りなす世界と医療への貢献(SDGs 3, 9)
更新日:2022年3月10日
Keywords: #脳 #AI #医療 #脳科学 #健康 #福祉 #早期発見 #認知症 #鬱病

"脳"の構造や機能は、人体の中でも特に未解明な点が多い。同時に、もしそれらが解明されれば、医療の進歩に大きく貢献ができる可能性がある。さらに昨今はAI (Artificial Intelligence)を用いた脳の解明が急速に進められている。本ディスカッションは、AIと脳科学による研究が医療の発展にどのように寄与し、貢献しているのかを学び、議論する場となった。
➢ 機能的磁気共鳴画像法(fMRI)による脳活動の画像化
MRI装置を用いた無害に脳活動を調べる方法として、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)というものがある。fMRIで得られた脳機能イメージングデータを用いて、認知・感情・運動・思考・感覚・知覚といった脳機能を解明する技術、心理状態を解読(デコーディング)する技術、さらには認知症をはじめとした神経難病や鬱病などの精神病態を自動画像診断する技術の開発が急速に進んでいる。
➢ 脳情報学 ~病気の解明から新しいAI開発まで~
脳情報学とは高度なIT技術と認知神経科学を組み合わせることによって、人間の情報処理メカニズムを深く解明し、新たな脳の認知モデルを構築するとともに、それを医学的・工学的に医療や福祉に応用していく学問である。人間の思考のメカニズムの解明が、認知症やうつ病の治療に役立つことや、人間の学習・推論モデルを応用した新たな人工知能の開発に繋がることが期待されている。

➢ AIを活用した健康サービスで認知症は防げる
認知症は生活習慣病のひとつである。認知症を発症してからの治療法はまだ見つかっていないが、予防することは可能である。アルツハイマー病の場合、およそ25年前から脳内で変化が始まり、軽度認知障害(MCI)の時期を経てから本格的に症状が出てくる。MCIの段階で認知症の予防行動を取ることで、神経細胞が再生し、新たなネットワークができる可能性がある。AIを活用して健康・医療・福祉が一体化したサービスを構築、提供し、予防行動を取ることで、認知症を未然に防ぐことが期待できる。
【学生の声】
学生1:
脳とAIという最先端の技術に関するトピックだったため、個人的には今回学べて楽しかったのですが、完全に理解することは難しかったです。深い話についていけなかった部分もあったので、さらに学びを深めていきたいと感じました。
学生2:
このディスカッションを通して大切だと感じたのは早期対応をするということです。脳の状態を調べて病気の症状がないかなどを確認して早く対応するのは、大切なことだなと感じました。早期対応によって多くの人の命が助かってほしいと思いました。また、脳を研究すれば色々なデータがあり深い内容を手にすることができるのだとわかりました。脳の研究が進んでAIや医療の発達が促進されてほしいと思いました。
【まとめ】
科学技術の発展が現代の医学の発展に多大なる貢献をしていることを理解できるディスカッションの時間であった。現在、日本社会は少子高齢化に歯止めがかからない状態になっている。高齢者や核家族世帯、一人暮らしも増える現代においては、より一層、AIによる医療と福祉と健康が密接に結びついたネットワークの構築と、それをもとにした病気の早期発見・早期解決が、健康社会を築く上で重要になってくるであろう。