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"教育"を考える ~学校に通えない6000万人の子供たち~

Keywords:#不就学児童 #インクルーシブ教育 #教育開発 #学校教育


空の学校


Theme


SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」をテーマに、世界の不就学児童の現状や解決のための取り組みについて議論した。まず不就学児童にはどういった子供が多いのかを洗い出し、その上でどうしたら子供たちが学校に通えるようになるのかを検討した。


 

Discussion

学校に「通えない」子供たちと「通わない」子供たち

世界には約6000万人の不就学児童がいると言われている。では不就学児童にはどのような子供が多いのか。学生からは「貧困により働くしかない子供」「病気・障害を持った子供」「戦争に巻き込まれている子供」「家から学校までの距離が極端に遠い子供」などが挙げられた。また、日本における不就学児童は外国籍の子供が多いのではないかとの意見もあった。


これに対して先生から、世界には「学校に行けない」のではなく「学校に行かない」選択をする子供・保護者がいるということが共有された。途上国では「就学者数」を「公立校に通う児童数」で集計しているが、不就学児童には、

  1. 経済的に余裕がなく、勉強するよりも働いた方が良いと考える層

  2. 経済的に余裕があり、公立校を見限って塾や家庭教師を雇う層

の2種類が存在する。例えばマラウイでは2000年時点で6割しか公立校に通う児童がいない。前者の層への支援は引き続き行っていく必要があるが、後者の「学校に行かない」という選択をする層に対しても、学校に行かない子供が増えることで国や社会に起こり得る問題を考慮しつつ対策を考えていく必要がある。


不就学児童を減らすために

学生からは、「教育はすぐに結果が目に見えるものではないため価値が分かりにくいが、勉強よりも働くことを選択する子供・保護者に対して『なぜ勉強するのか』という根本的なことを理解してもらう必要があるのではないか」という意見が出された。また、障害など特別な支援を必要とする層に対しても等しく教育を受ける機会が供給されるシステムを構築する必要があるという考えや、より良い教育環境の整備として、児童や保護者が気軽に相談できる体制を整える必要性を訴える声も聞かれた。


その上で、JICAが行う「みんなの学校プロジェクト」が紹介された。これは、地方行政と地域住民が協力して学校運営をすることで親の教育に対する意識を変えていこうとするものである。さらに学生からは、不就学児童に関する問題が国や地域によって異なる中で、一つの方向に向かわせようとするのは無理があるため、各現場での教育状況をデータ化し、カテゴライズした上で各々に対する施策を考えていくというような、より細分化した政策を行うべきだという提案があった。


これらに対して、先生からは、国や社会によって問題やニーズも違うため、トップダウンではなく各々の状況に合わせた対応が必要であることが共有された。そもそも「不就学」は悪いことなのかという根本的なところから問い直していく必要がある。全員が経済発展したいと考えているとは限らず、障害児の中には教育を受けるよりもお母さんと一緒に暮らしたいという子もいるかもしれない。私たちの考える「課題」は彼らの思う課題ではない可能性があり、最も重要なのは彼らが「幸せ」に生きられるようなサポートをしていくことではないかと考えさせられる議論の場となった。


 

Students' View


学生1:

 「不就学児」というテーマから、「なぜ教育が必要なのか」や「学校の在り方」など、身近だけどあまり考えない問いに触れることができました。また、不就学児の実態を知り、自分たちに何ができるのか考えることで、問題を「自分ごと化」することのできた貴重な機会となりました。


学生2:

 世界の全ての子供が教育を受けるようにするためには、先進国や世界銀行などの機関だけが中心になって「教育」を考えるのでは不十分だと思いました。実際に教育について課題のある国や地域の声に寄り添い、そこから何ができるかを考えていくボトムアップ的な対応が今後教育全体に求められていくのではないかと思いました。


 

Conclusion

 

「不就学児童」を題材に議論する中で、今ある社会問題が本当に問題なのかを再考する必要があるのではないかと思われた。支援する側の考えや思い込みをぶつけてはならず、その国や地域の人々が求めているものは何なのかを理解しなければ、本当の意味での支援とは言えない。人々が「幸せ」になるために私たちにできることは何なのか、その本質的な問いに答えていくことが、SDGsの達成、つまり「誰一人取り残さない」社会の実現に繋がっていくのではないだろうか。

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