沖縄に教育格差が生じた歴史的背景と大学生にできること
Keywords:#沖縄 #教育格差 #失業率 #貧困 #福祉 #ボランティア

Theme
私たちのグループでは、SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」に焦点を当て、参加学生の所属大学や専門分野が異なることを活かし、「沖縄の教育格差を事例に、大学生として私たちにできることは何か」について意見を出し合った。
Discussion
沖縄における教育格差の現状と歴史的背景
初めに先生から、沖縄の事例にみる教育格差の実態と背景についてお話を伺った。沖縄県の雇用や教育に関するデータを見ていくと、まず雇用状況において、完全失業率と10代の失業率が全国平均に比べ高いことがわかる。続いて教育費に関しては、46%もの世帯が年収300万円未満で生活し、教育関係費は6.5万円以下となっている。
先生からなぜこのような現状があると思うかという問いかけがあり、学生からは「多子世帯や一人親家庭が多いからなのではないか」「穏やかな県民性が関係しているのではないか」といった意見が出たが、それらは表面上の理由に過ぎず、実際にはより複雑な背景があることがわかった。
まず1つ目が、明治時代に行われた廃琉置県である。これにより、これまでの琉球王国が「沖縄県」へと大きく変わり、沖縄県民に対しては沖縄語(ウチナーグチ)から標準語で話すようにさせる教育改革が行われた。その結果、学校は「大和屋」と称され、強制の場と捉えられるようになり、学校教育への抵抗感が生まれてしまったのである。
そして2つ目にアメリカ占領期の実態である。多くの教員や教員の「卵」が戦死してしまった結果、教員が著しく不足していた。また、戦後の家庭の事情により、児童労働を余儀なくされる子どもも少なくなく、学校が再開しても通うことができない子どもが多くいた。なかには中学3年生で米軍基地関係の労働をしていた子どももいたという。以上のような歴史的背景により、現代の沖縄においても歪みが生じているというのだ。
貧困や教育格差が生じてしまう原因は何か
続いて「貧困に陥る原因とは何か」というテーマでディスカッションを行った。日本では6人に1人が相対的貧困にあると言われている現代において、貧困や教育格差の問題は沖縄県に限らず全国各地で起きている。では、そもそもなぜ貧困に陥ってしまうのだろうか?学生からは、「福祉が充実しておらず、貧困の連鎖を断ち切るための教育支援が不十分である」「公教育が目標を達成できていないため、自立するための支援を増やしたい」「日本において福祉を充実させるためには、まず他者を想いやり、尊重することできる人が増えたら良い」など、各々が大学で学んでいる内容を土台にして様々な意見が出た。
大学生の私たちにできることは何だろうか
最後に「大学生として私たちに出来ることは何か」ということに関して、一人一人考えを述べてもらった。「中高生の時に大学生に学習支援をしてもらった経験があり、それが印象に残っている。私たちも時間のある大学生期に、ボランティアに参加するなど自分たちから動いていきたい。」「ボランティアをする際、自分の思う幸せを押し付けるのではなく、相手のニーズに合っているかどうかを考えることが重要であると思う。ボランティアに加えて、支援を受けられる場があることをSNSで発信することもできるのではないか。」など、大学生にも取り組むことができそうな内容が出てきた。先生からは「SDGsの達成に向けても、まず相手を思いやることが一番大切である」という言葉を受け、皆が今からできる取り組みを実践していきたいと強く感じた。大学生の私たちから、このように意識を変えていけば、社会に広まっていき、持続可能な社会の構築につながるだろうと感じさせられた時間となった。
Conclusion
沖縄における教育格差の例を見てみると、教育格差を生み出すまでの歴史的な流れが存在しており、現実問題というのは「現在」だけの問題なのではなく、時に歴史を遡りながら複雑な問題を一つ一つ解いていく必要性があると分かる。大学生として問題解決のすべてに携わることはもしかしたら難しいのかもしれないが、他者を思いやる心を持ち、まずは一歩を踏み出す姿勢が、今後の社会においてより大切になるだろう。