これから訪れる食糧危機をいかに乗り越えるか
Keywords:#食料問題 #飢餓 #国連食料サミット #東京栄養サミット #農業

Theme
今回はSDGsの目標2番「飢餓をゼロに」をテーマとし、特に国連食料サミット2021、東京栄養サミット2021の記事について話し合った。先生から食料問題に関するお話をいただき、各学生が記事を読んで浮かんだ質問を共有していった。そして先生から専門的な知識を交えた回答をいただきながら話し合いの時間を持った。
Discussion
途上国への食料支援に残る 食文化の違いゆえの課題
世界中に存在する食べ物は量的には足りているが、分配がうまくいっておらず、飢餓の問題が生じている。一方、先進国では余った食料を廃棄しているというのが、日本をはじめとした多くの国々の実状である。食料を冷凍保存し、発展途上国へ持っていくことができれば、先進国の食料を無駄にすることなく活用できるのではないかという意見が挙げられた。
先生からは「日本で余っている米を送るという事例はあるものの、システムとしてうまく構築されているわけではない」と話があった。グローバルな流通は国連食料サミットにおいても話し合われている内容であり、実現に向かいつつある。しかし、日本の米を送っても食文化の違いにより食べてもらえないという問題も生じうる。日本の米は粘り気があるが、世界の大多数は水分が少ない米をより好んで食べる。嗜好性の違いにより、支援が難しいという現状もあるのだ。
地域風土にあう農業構造を作り、栄養価の高い食料を得る
SDGs目標2のターゲットの中に「脆弱な立場にある人々が、一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする」というものがある。世界中で栄養価の高い食料を入手できるようになることを目指していると思うが、現状はどうなのかという質問が挙がった。
この質問について、先生自身がケニアで地域の資源(土地や風土)をうまく活用し、手ごろに栄養価の高い食料を入手できるようにする活動を行っていることがわかった。地域独自の資源とは、現在知名度が上がってきている昆虫食や、昔からその地の食料とされてきたものなどが挙げられる。もちろん77億にものぼる人類全体を養うには、大規模な生産による食糧供給も必要でもあるが、各地域に存在する資源を見直し、手ごろな価格で栄養価のある食料を手に入れられるようにする政策がもう一つの流れとして起こっているのだ。地域の人々が、自分たちでそうした資源を活用して手ごろな価格で農業システムを構築することが大切である。先生も昆虫食としてサゴヤシのイモ虫等を食べたことがあり、ミルキーで美味しいと話されていた。嗜好性は各自のこれまでの食の環境の中で制御され慣れてしまっているため、まずは食料供給に対する先入観をなくしていくことが必要である。
Students' View
学生1:
現段階では、食べ物の(世界全人口に対する)量は足りている状況であるけれど、食べ物の分配が上手く成されていないことが飢餓に繋がっているという現状を知り、先進国での食品ロスの問題に対して、さらに自分事として考えていかなければならないと感じました。食事の際、「これ以上食べられない」と、まだ食べることができる物を平然と廃棄してしまう私たちですが、飢餓で苦しんでいる人達の存在を知り、より食料を貴重なものとして扱っていく必要があると思いました。
学生2:
農業に関する問題は決して農業だけでなく、気候や文化、経済の問題などが強く関わっており、これらすべての問題が解決されなければ、農業の問題も解決されないということを知ることが出来ました。また食料不足の問題を解決するためにはただ食料の生産を多くするだけでは根本的な解決には至らず、食料の供給をきちんとしなければならないということも知ることが出来ました。私は昆虫食に関しても興味を持っているので、飢餓問題の解決に貢献できる可能性のある昆虫食についても学んでいきたいと思います。
Conclusion
今後も人口が増え続けていくと予想される世界において、食料問題は深刻であり、自分事として一人一人が捉えていくことが重要になる。問題に対して解決策を考えると、また新たな問題が生じる等、問題解決の難しさも目の当たりにするだろうが、まずは私たちが現状や深刻さを知ることが大切であると感じる。今後も国連食料サミットや栄養サミットに関心を向け、食べ残しをしないなど、まずは身近にできる取り組みを行いながら、問題解決につなげていきたいものである。