職場における障害者との「共生社会」を実現する
Keywords : #インクルーシブ #共生社会 #ダイバーシティ #障害者 #職場

Theme
私たちはSDGsの目標8「働きがいも経済成長も」をテーマに、職場における健常者と障害者の共生社会について議論を行った。近年、多くの企業が障害者でも働きやすい環境づくりなどを通して、インクルーシブな社会を目指した取り組みを積極的に行っている。今回は、障害者と協働するうえで必要なこと、感じることなどを話し合い、また共生社会の発展に対する質疑応答を行った。
Discussion
職場における障害者への「合理的配慮」
障害者とのより良い共生社会を実現するためには、障害者のニーズに合わせた配慮ができる環境の構築や、障害に対する知識と配慮の在り方を学ぶことが重要となってくる。学生からは、その配慮が善意で行われるものであっても、抱える障害の内容や重さによってはかえって差別的に捉えられたり、贔屓に思われてしまったりすることもあるのではないかという疑問が投げかけられた。この質問に対して、先生からは「合理的配慮」という考え方が取り上げられた。障害によって求められる配慮が異なる中で、建設的な対話を行うことが重要であるという。また、このような配慮の根底には、他人の状況や立場、気持ちを思いやる「やさしさ」が重要であり、障害の有無にかかわらず、全員が当事者であるという自覚を持つことが大切となってくると語られた。
「バリアフリーコンフリクト」を改善し、共用空間を実現
学生から「現在も障害者に対する差別が続いている中、すべての人が平等と思える社会を築くことは可能なのか」という疑問も投げかけられた。これに対し、先生は「バリアフリーコンフリクト」の例を挙げられながら、誰でも共用できる環境づくりが重要であると語られた。例えば、視覚障害者にとっては便利な点字ブロックが、杖を使う高齢者にとっては躓く原因になることもある。そこで、点字ブロックの突起部分をより低く、フラットに近い床のデザインに仕上げて改善する。このようなバリアフリーコンフリクトの改善を通して、誰もが利用できる共用空間の実現を目指す。共用空間である“社会”を知ることで、差別的な意識が減り、皆が平等である社会を築くことに繋がるという。
障害者も健常者と同じように働くことができるように
現代社会において、マルチタスクをこなせる人材が求められるが、このような風潮では、障害者の雇用は難しいのではないかという声が挙がった。これに対し先生は、全ての障害者が働けるようにするための2つの案を提示された。1つ目は、健常者と同じように働ける環境を実現し、そのための教育環境をつくること。2つ目は、知的障害や内部障害、精神障害など、職場環境への適応が難しい方でもできる仕事が外国には存在しているので、それを日本国内でも導入していくということがあげられた。
Students' View
学生1:
それぞれのニーズに合わせた支援が大切であると言いつつも、具体的にどう対応すれば良いのかわからなかったので、今回のディスカッションを通して答えに辿り着くことができました。支援者は障害のある方にとっての良き理解者になる必要があり、本人の意図を汲んで関わらなければいけないと思い込んでいたが、本人の意思を直接聞くことが配慮を考える上で大切であるということを学びました。
学生2:
どのような支援にも、共通して根底にあるのは「優しさ」なのだということを聞き、皆が皆を思いやる気持ちが芽生えたら社会はもっと温かいものに変わるだろうなと思いました。思いやりの気持ちを大切にして、自分から行動していきたいです。
Conclusion
今回、ディスカッションを通して、障害者とのより良い共生社会の実現に向かう知見を深めることができた。障害者と関わる機会があまりなかったが故に、障害者と共に労働する際にどのように接するべきか分からなかった人も少なくなかったが、今回障害者をはじめとしたインクルーシブな社会について向き合うことができ、非常に良い機会となったと思う。私たち一人一人が当事者意識を持つことで、少しでも共生社会の発展に貢献していきたい。