リスクマネジメントの核心とリーダーの素養

更新日:7月10日

Keywords : #リスク #リスクマネジメント #リーダー

飯本武志先生




飯本武志 先生


東京大学環境安全本部 教授

東京大学大学院新領域創成科学研究科環境システム学専攻








Theme


私たちは身近な生活の中で、知らず知らずのうちにリスクマネジメントをしている。例としては、良い成績を取るための勉強や寝坊しないためのアラームなどである。SDGsを世界全体が共通に抱えるリスクを取り上げたものと見たとき、私たちは今後リスクに対してどう対処すべきなのかをリスクマネジメントの観点から模索した。今回は放射線安全学をご専門とされる飯本先生と共に話し合いを行った。


 

Discussion

「リスク」と「リスクマネジメント」

リスクは「損害が発生する確率(頻度)とその被害の大きさの組み合わせ」として今までは使われていた。この定義は負の影響のみを考えている。しかし、最新のリスクの定義は「諸目的に対する不確かさの影響」となっており、正も負もない中立的な不確かさの表現として用いられる。例を挙げると、ある社会経済活動や投資には、大儲けをする正の可能性と大損害を被る負の可能性があり、これらを総合してリスクと呼ぶのである。そして、このリスクに対策を講じることをリスクマネジメントと呼ぶ。


リスクマネジメントの本質

そもそもリスクマネジメントは、リスクの正体の明確化、状況の理解、関連データからの物差しの決定と基準値制定という流れで形成される。国や自治体が作成したルールを守ることは重要である。しかし、リーダーの立場の人は、リスクマネジメントで何をするか以上にどのように決めたかというプロセスに注目してほしいと飯本先生は語られた。我々の生活は体調、環境や経験によって、選択する行動が日々変わる。これと同様にリスクマネジメントで決定された行動基準が状況によって変化することは大きな問題ではない。そこに科学的な根拠や理屈があることの方がむしろ重要であると飯本先生は強調された。リーダーという存在は未来の予測をしながらリスクに対応する必要があるため、感情ではなく理屈に基づいたプロセスを踏むことに意味があるということだった。


未来を見据えたリーダーに必要な素養

ここで学生から、「リーダーは情報が不足な中で、未来の最適なリスクマネジメントを考えなければいけない。そのために必要なリーダーの素養とは何か」という質問が挙がり、グループ内で意見を出し合った。学生からは、自ら課題を見つけ解決する能力、周りからうまく合意を取る能力、洞察力、柔軟性や歴史から学ぶ力などの意見が挙がった。飯本先生はどれも正しいと語られながら、飯本先生自身が思う最も重要なリーダーの素養は、「質の良い友人」を持つことだと答えた。同じ志を持つ友人がいることで、自分だけでは知りえない情報やネットワークを構築することができ、決断の安定性や情報の新規性も大きく変わるという。また、志が異なるような反対意見を持つ友人を持つことも必要であると飯本先生は付け加えていた。


 

Students' View


学生1:

 毎日の生活がリスクマネジメントであると実感した。そして、リスクマネジメントという観点で社会問題に目を向けると、リスクの理解からルールの制定までのプロセスに、重要な意味があることを今回のディスカッションを通して感じた。飯本先生からの熱いメッセージもいただき、問題解決に対する姿勢を改める貴重な機会だった。残り少ない学生期間ではありますが、共に課題解決ができるような同志をつくり、活動していきたいと思った。


学生2:

 「私たちは、リスクマネジメントをどのようにするかを考える主体である」という視点に感銘を受け、今後の私たちのあり方について学ばされた。今後ありとあらゆる場面で、判断や決断を正しくするためにも、教養を身につけることはもちろん、様々な考えや価値観を吸収することも大学生には求められることを感じた。今回の内容を通して、大学という開かれたコミュニティーに属している今にしかできない経験や人間関係の構築に取り組みたいと思った。


 

Conclusion

 

リスクマネジメントに焦点を当てることで、対策を考えるまでのプロセスが非常に重要であることが分かった。科学的根拠や理屈をもとに正しいプロセスを踏むことで、適切なリスクマネジメントができる。リーダーという存在は、情報不足な未来を考えながら最適なルールを見出さなければならない。だからこそ、今の大学生活の中でいかにリーダーとしての素養を身に着けるかが、我々学生の課題である。

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