真に飢餓問題を解決することの難しさ

Keywords:#飢餓をゼロに #人道支援 #開発支援 #緊急支援 #食糧配給 #貧困 #パンデミック #紛争 #WFP #自立



食糧を求める手


Theme


本グループでは、SDGsの目標2「飢餓をゼロに」について、「何故、世界にはお腹を空かせている人がこれほど多いのか」「何故、飢餓問題は解決することが難しいのか」をテーマにグループディスカッションを行った。


 

Discussion

現在まで続く 飢餓問題の「4つ」の原因

世界には現在、飢餓人口に数えられる人々が8億人もいると言われ、この数字はおよそ世界人口の10人に1人はお腹を空かせているという計算になる。


では、なぜ世界にはお腹を空かせている人がこれほどまでに多いのか。先生はその原因は一つではなく、いくつかあると語られた。学生からは、気候変動の影響や紛争・戦争の影響、貧困問題によるものではないかという意見が聞かれ、飢餓人口は現在も増加しているのではないかとの声も挙がった。先生は、その原因は大きく分けて4つあると言われた。


飢餓の第一の原因は「貧困」である。収入が足りないのでマーケットに食べ物が売っていても十分な量や質のものが買えないという現状がある。また、自給自足の生活をしている人はたくさんいるけど、必ずしも自分の土地を持っているわけではないので、地主に雇われて働いている場合が多く、賃金が低いために貧しくなってしまうのだ。ただ、このような貧困問題は改善されてきつつあり、飢餓人口は長い目で見ると減少傾向にあるという。四半世紀ほど前は今の倍くらいの飢餓人口があったが、中国やインドなどの多くの人口を抱える国々の経済成長によって飢餓人口が減少したという。


二つ目の原因は「紛争」である。代表的な例としてシリアが挙げられる。もともとは裕福で進んだ国だったのでWFPが支援する必要などない国だったが、紛争が起こり全てを失った結果、飢餓に陥ってしまった。そういった人たちは難民キャンプで暮らしている。現在、世界には難民、避難民合わせて8000万人もいると言われている。先生からは紛争という人災のために毎年どれくらいのお金が使われているのかを考えると、紛争はすぐにでもなくならなければならないと語られた。


三つ目は異常気象と自然災害である。主に気候変動が大きな原因となり、今まで作れた穀物や作物を作れなくなってしまった。


最後は新型コロナウイルスによるパンデミックである。8億人という飢餓人口の数字は今年発表されたもので、パンデミック前は6億9000万人だった。すなわち、ここ数年の間に1億人も増えたということになる。新型コロナパンデミックだけが原因のすべてではないだろうが、日本においてさえもアルバイトで暮らしていた人など、多くの人の仕事がなくなり、生活が苦しくなったということは事実である。特に貧しい国では日雇いで働いているケースも多く、仕事がなくなってしまうと一日の食事さえ困難になってしまうというのだ。


飢餓ゼロの理想は、自立して健康的な生活を行えるか

では、なぜ飢餓問題の解決は難しいのだろうか。先生はSDGsの目標2「飢餓をゼロに」は、単に空腹を満たすということだけを指すのではないと言われた。飢餓の基準は 「生命の維持だけでなく、健康で社会的な活動を行えるか 」である。国連食糧農業機関(FAO)では栄養不足を 「十分な食料、すなわち、健康的で活動的な生活を送るために十分な食物エネルギー量を継続的に入手することができないこと 」と定義している。SDGsの目標における「飢餓をゼロに」とは、単純に食糧が足りずに困窮している状態の解消を目指すのではなく、栄養不足を解消して健康的な生活を行える状態を目指すことであるという。


そして、一番大変なことは現状の問題を改善しつつ、彼らが自立できるようにサポートしていくことである。WFPが実際に援助できるのは、毎年の平均を考えてみても8,000万人程度で、飢餓人口全体の10%ほどに過ぎない。集まる資金は限られているため、全ての人に支援の手を施すことはできない。また、過剰な支援は自分で立ち上がろうとする活力をなくすこともある。ただもらうという形に頼りきってしまっては自立に繋がらないのだ。WFPの理想は、「我々(WFP)がいなくてもいい」状態だというが、飢餓に直面する人たちが自立して健康的な生活を営めるようになるかということは、非常に難しい問題なのである。


 

Students' View


学生1:

 今起きている課題や問題も世界的な視点や将来性を考えて見つめていくことが重要であり、そうしてこそ初めてその問題の根本的な解決に繋がっていくのだということを強く感じました。具体的には、コロナに対する捉え方、支援する際にも難民の方々の自立(支援がいらなくなるまでのこと)を考えての発想(キャッシュ化や子供の栄養不足改善)など、持つべき視野の大きさと広さに驚かされました。


学生2:

 第一線で活躍されている先生のお話を聞いて、今まで数字や文字としてしか知らなかった事実を、現実味をおびて改めて知ることになりました。ただ食料を与えるだけでなく、未来を見据えた判断など、現場で活動される厳しさや柔軟な考え方に感銘を受けました。もっともっとたくさんお聞きしたいことがありましたが、時間が足りず残念でした。あっという間でしたが、とても有意義な時間で、多くの刺激を受けることができました。


 

Conclusion

 

今回のディスカッションを踏まえた上で、先生は学生に向けて「世界の不平等ということについては、食に関して、医療に関して、衛生環境、ビジネスに関してなどいろんなレベルで不平等があることをまず知ることが非常に重要なことである」と語られた。


SDGsの大事なところは、全ての世界が繋がっていると考えることだという。日本のテレビを見ていても、アフリカの出来事は遠いという印象があると思うが、たった1,2か月で新型コロナパンデミックが世界中に広まったことを考えてみても分かるように、案外この世界は小さいものである。今、私たちが暮らしている地球は未来の世代から一時的に借りている物であると考えて生きないと、近い将来、人類が住めない惑星となってしまう。今ある課題や問題に対してより大きな視野を持ち、未来をも考えながら捉えていくことで、その問題の根本的な解決に繋がるということを強く感じる。

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